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1つ年上に、ポトスという姉がいた。

ポトスは、身長が1mにも満たないし、髪の毛は殆ど生えてないし、体はペチャンコだった。

あたしは、ポトスとあまり仲良くしようとしなかった。



ある日、姉とポトスとあたしで遊園地に来た。

ブランコのような乗り物に乗ったとき、ポトスの安全レバーが勝手に外れてしまった。係員が慌てて停止ボタンを押すと、乗り物は勢いよく止まり、その衝撃でポトスは大きく投げ飛ばされてしまった。



姉とあたしは急いでポトスに駆け寄った。

すぐに救急車を呼んだ。



姉は救急隊員にポトスの病気について細かく説明していた。

ポトスは入院するらしく、日常生活の世話の仕方も説明していた。



あたしは何も知らないことばかりだった。

ポトスと関らないようにしていたことについて、家族に怒られたことはない。姉は何も言わず、ずっとポトスの世話をしながら、ポトスともあたしとも仲良くしていたのだと思うと、自分がとても情けなくて、どうしようもないバカだと気づいた。



これからは、ポトスともっと仲良くしようと思った。

その前に、気になることがあるので、勇気を出して母に質問をしてみた。、



「ねぇママ、ポトスは、うちの子じゃないの?」



母はとても驚いていた。そして、うろたえていた。





「なに言ってるの?うちの子よ。あなたののお姉ちゃんよ」

「でもあたしが小さい時にはいなかったじゃない」

「昔から、ポトスはうちにいるよ」

「いなかった。絶対いなかった。覚えてるもん。小さい時はいなかった」



母は泣いた。泣きながら「ごめんねぇごめんねぇ」と何度も謝った。



ポトスは、あたしの実の姉だった。障害を持って生まれたので、父がうちの子としては育てない。と言ったらしい。母は猛反対したが、父は頑として許さなかったらしい。ポトスが道端に捨てられたのか、施設に預けられたか、他人に貰われたかは、教えてもらえなかった。



あたしはグシャグシャに泣きながら、ポトスの病室へ向かった。

ポトスは、すやすやと眠っていた。



そういえば、ポトスって植物の名前だ。



父は、姉に百合子と名づけたように、あたしに茉莉子と名づけたように、ポトスにも植物の名前を付けていたのだ。



父は、いったいどんな気持ちでポトスを捨てたのだろう。

そして、どんな気持ちでポトスをまた我が家へ迎え入れたのだろう。



ただ、涙だけが溢れ出る。
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