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自動車が爆発した。



みんな逃げ惑った。





少し離れた場所にいた少年と少女は無事だった。



少年が、落ちていた自動車のエンジン部品を拾った。





爆発した。





少年は背中が熱いらしく、体をひねりながら走り回った。







少女はその光景を、まるでテレビ画面を見ているように客観視していた。



しかし、少女もまた大火傷を負った。





















あたしは寝転んでいた。上を向いて寝転んでいた。



「あぁ、痛いなぁ。どうしよう。」



と思っていると、大人がまわりで騒ぎ出した。



「歩けるか」と聞かれ、歩けるか歩けないかを考えるより先に、面倒くさいという意味で「歩けない」と答えると救急車を呼ばれた。



「痛い痛い」と悶えながら、生まれて初めての救急車にワクワクした。







救急車がなかなかこないので、車で行くことになった。



運転手の腕を信用してないと思われて逆ギレされると怖い。



「あのー・・・ゆっくりでいいんで、安全運転でお願いしますね・・・」



と言うと、運転手は興奮した様子で



「わかった!!いいから落ち着け!!」



と言った。





オンボロ車だった。



走るたびに、カラカラカラと音がした。



普通のバイパスで100キロ近く出された。



乱暴な運転だった。



「ねぇ、やめて。もっとゆっくり走って。お願い。」



と頼んでも、運転手は黙ったまま乱暴な運転を続けた。





バイパスの降り口で、一同はブレーキの効きが悪いことに気付いた。



車はなかなか止まらない。



目の前は赤信号。



運転手は必死でブレーキペダルを踏んだ。



壊れるほど踏んだ。



ドンッという音とともに、あたしの体は吹き飛んだ。



フロントガラスに体をぶつけて、助手席の人の上に落ちた。









消防署のとなりにある病院に着いた。



「え?救急車、さっき出たのにー。あいつら無駄足wwwざまあww」



と、消防署の救急隊員は笑った。





とっても古そうな汚い病院の治療室には、初老の男が白衣を着て、にっこり笑って立っていた。



治療室には、何故か椅子が見当たらなかった。



医師は、右手であたしの肩をつかみ、左手で鎖骨をグイッと力いっぱい押した。



「痛い痛い!」と喚いても、医師はニヤッと笑って診療を続けるだけだった。



火傷で溶けた皮膚をスプーンで削ぎ取ったり、全身の打撲をグイグイ押したり、拷問のような治療だった。







辛かった治療を終えると、後ろに母がいた。



泣いた。今まで溜まっていたものがすべて溢れ出た。



あたしは泣きながら嗚咽混じりで、母に辛い気持ちをぶつけた。



「あんね、あんね、ここ、首打って、背中もいっぱい打って、腕もいっぱい、こことこことここ、ここも、すごい痛いし、後ろめっちゃ火傷して痛いし、救急車に乗れるって思ったのに車じゃし、すごい乱暴な運転されてまた怪我したし、あの先生むっちゃ容赦ないし、もうあたしやだ。」



と大泣きをしながら母に抱きついた。





頭の中で「今のあたしむっちゃキモくないか?これニコニコにうpしたらコメント結構もらえるんじゃないか?」と思っていた。



家に帰ると既に何者かによってうpされていた。



「うぇwwwwwwwwwキモスwwwwwwwww」



等のコメントで溢れかえっており、あたしはうっとりした。













目が覚めると、涙が溢れ出ていた。



寝違えたようで、首と背中がとっても痛かった。



「変な時間に寝るものではないな」と思った。
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