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ミノルは、バイト先の一つ年上の南の事が好きだった。

南は、特別カッコ良いわけでもないし、背も高くないけれど、明るくてバカで優しいのに、彼女がずっといない所が好きなのだと、ミノルは頬を少し赤らめながら言った。



しばらくして、南に彼女ができた。

南は、周りに自慢するタイプではなかったが、周りの連中がからかうように彼女の話を持ち出すので、南も照れながら馴れ初めなどを話す。ミノルも、周りに合わせて「彼女の事何て呼んでるの?」とからかったが、余計悲しくなるだけだった。



南は毎日幸せそうだった。

彼女とは遠距離でなかなか会えないが、連休となると必ず会いに行った。バイト先に、彼女の住んでいる地方のお土産を買ってくるので、ミノルはまたからかいながらお土産を貰う。



だけど、ミノルは諦めなかった。

「ラブラブなのは最初だけだよ。彼女とは遠距離で、私は週に何度も会う。私にもチャンスはある。」と自分に言い聞かせていた。諦めなかったお陰で、バイトに行くのが楽しみだった。南と同じシフトの日は、とても幸せだった。



ある日、南と同じ時間にバイトを上がる事になっていた。

ミノルは普段あまりお洒落をしない。化粧は人並みにしているのだが、服装にやる気を出せないらしい。「家とバイトの往復だけだから。」と思っていたのだが、今日は南と同じ時間にバイトを上がるので、必然的に南に私服を見られる事になる。ミノルは南に見せる為に、お洒落をしてきた。

他の人から見れば、ミノルのしてきたそれは、特にお洒落に見えないだろう。だけど、普段Tシャツにジーパンのミノルが、スカートにブーツでキメてきたのだ。ミノルはバイトが終わるのを待ち遠しく思った。



バイトが終わって更衣室から出ると、男子更衣室の中から南たちの話し声がする。南はまだだ。もう一度更衣室に戻って待って、出てみると、男子更衣室はしんとしていた。



ミノルは慌てて外にでた。駐輪場に南がいた。外は暗かったが、南だとわかった。ミノルは少し早足で駐輪場に向かった。南がヘルメットをかぶってスクーターにまたがった。ミノルは小走りになっていた。あと15メートル。南の乗ったスクーターは大きなエンジン音をさせて去っていった。



ミノルは自転車に乗って帰った。

寒空の下、スカートで来た事を後悔した。







ミノルは「バカでしょ」と言って笑ったが、あたしはとても可愛いと思った。
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