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昨日の続き。
あたしはいつも、寝巻きのような格好でアルバイトへ行く。仲良しの社員さんに「ジャスミン今日もパジャマやね」と毎日笑われた。だけど、今日はバイト終わりに送別会があるので、少しオシャレをしてバイトへ行った。「こいつ送別会あるからオシャレしてるwwwwワロスwwww」とか思われたらどうしよう。ちょっと恥ずかしかった。けどあたしはオシャレをしたら結構可愛いのだ。「お、ジャスミンちゃんとしたらそこそこ可愛いじゃん」って思われたらどうしよう。交際を申し込まれたらどうしよう。
と、余計な心配をしてバイトへ向かったのだが、店内は大繁盛して急がしそうで誰にも見られなかった。着替えて仕事に就いたのだけど、普段なら、こんなに忙しい日は死にそうな顔で不機嫌に仕事をしているはずのみんなが、明らかに明日の送別会を楽しみにしてハイテンションで働いていた。あたしもつられてご機嫌で働いた。
仕事を終え、出勤でなかったメンバーが続々とやってきて、閉店後の厨房で送別会の用意を始めた。あたしたちのようなナマケモノの遅番や送別メンバーは別室でグダグダと準備ができるのを待っていた。
先輩の可愛がっている女の子2人が送別メンバーに含まれていた。挨拶で、その内の1人は「この店は面白い人たちばかりで・・・」と言った。司会をしていた先輩は「主に誰が面白かった?」と聞いた。女の子は「えー・・・」と困っていた。先輩は明らかに自分を名指しで面白いと言ってほしそうだった。しつこく聞いていたが、女の子は結局「みんな面白かったですう」と言った。もう1人の女の子は、まだ17歳なのだが「妊娠しました」と言って泣いた。みんなびっくりしていたが、なんとなく「そうするべきだろう」という感じで拍手をしていた。
色紙を渡すときになって、先輩は予定していたメンバーに加えタカちゃんを呼んだ。あたしは呼ばれなかった。ちょっとそうかなって思っていた。あたしと近所さんは確かに仲がいいし、何回か個人的に遊んだりもした。だけど、タカちゃんと近所さんの方が、普段のバイト光景からいえばしっくりくるのだ。だけど、それでも先輩は「近所の色紙はジャスミンが渡そうね」と昨日言ってくれた。あたしも「渡したいけど、タカちゃんが渡すべきかな」と思っていたのに、リーダー的存在である先輩がそう言ってくれたので、本当に嬉しかった。なのに、何の断りもなしにその役をタカちゃんに変更していた。
悲しかった。だけど、遠巻きに色紙贈与の光景を見ていると、「あぁ、やっぱりタカちゃんが渡したほうがしっくりくるな」と納得した。だけど、納得したけど、羨ましかったし、悲しかった。
先輩はベロベロに酔った。「悪酔いするから」と言って、普段の飲み会では一滴もお酒を飲まない先輩が、カシスオレンジばかりを何杯も一気飲みをしてベロベロに酔って暴れていた。本当に悪酔いだった。こんなに人に迷惑をかけている人を初めて見た。異常に酔っ払って回りを巻き込んで酒のこぼれた床に倒れこんだりする人を見ると、酔いは一気に醒めた。
女の子に「まりさんイッキしましょうよ」と言われた。もうイッキとかいう年じゃないけれど、「もうイッキとかいう年じゃないし」って言うのは現実を受け入れすぎてババくさいので、「はい喜んで」と2,3回イッキ飲みをした。あたしはイッキ飲みをすると気分が悪くなるらしいことに最近やっと気がついた。節分ということで、大量の豆を撒き散らしたあと、あたしはトイレで真っ赤になった液体をベチャベチャと吐き続けた。
開店時間を過ぎて、元気なメンバーは部屋の片付けをした。酒や豆が散らばっていて「普通こんな客は今後出禁だな」と店長が笑った。みんなで記念写真を撮って、近所さんと一緒にバスで帰った。
近所さんが餞別にもらったネクタイを、あたしは近所さんにつけてもらって、バスを降りるまでずっとつけていた。
ダンディと、白い先輩と、豆と、父の生徒の女の子と、妊娠した子と、近所さんが辞める。
すごく寂しい。