フォリ

あたし今日お誕生日だったんだけど、全く、本当に予想していなかった人にプレゼントを貰って、すごく泣きそうになって。だけどそんなのカッコ悪い気がして我慢した。いつ買ったんだろう。この人、プレゼントとか買うんだぁ。嬉しかったぁ。



お誕生日だからって、お姫様になれるわけじゃないから、毎日起こりうるレベルの嫌な事や悲しい事もあるけど、やっぱり「お誕生日なのに」と思っていつも以上に悲しくなってしまった。でも、「おめでとう」といわれるたびにすごく嬉しくて恥ずかしくて、ニヤニヤ笑っていた。







ハチは結局バイトを辞めたのだけれど、あたしはお金を貸していて、それを今日返してもらった。久々に会って、特に会話もなくお金を渡され、受け取り、帰ろうとすると、ハチが「今日お誕生日でしょう。はい。ケーキ。」と言って小さな袋を差し出した。ハチに謝ろうと思った。何を、とかではなく、もう何もかも申し訳なくて。ハチと一言も口を聞かなかった日、最後にあったあの日。手のひらを返したように冷たくなったあたしに愛想をつかして無視していたのかと思った。でもそうじゃなくて、自分と仲良くしたら白い目で見られる事を知って？あたしに嫌われてると思って？ごめんなさい、ハチ。だけど、何も言えなかった。





ハタチになりました。