ハヤシライス女王

夕食は、大好きなハヤシライスでした。

「好きな食べ物なぁに？」と聞かれて１番に思いつくのが、ハヤシライスです。

「ハヤシライスよりカレーだよ」なんて言われるとゲンナリします。

見た目が似てるからといって一緒にしないで下さいね。



近頃、週に一度くらいしか自宅で夕食を食べません。

今日は久しぶりに自宅で夕食でした。



父と母とあたしと弟の４人で食べました。



あたしは、ハヤシライスがとっても好きなので、ごきげんでした。

食事を終えても席を立たず、母や弟と世間話をしていました。



「牛肉の入っていないハヤシライスってベジタリアンも食べられるの？」

なんていう、本当にどうでも良い世間話でした。



１、２分喋ったところで、父が大きな声で怒鳴りました。

「なに喋っとんじゃ。食ったらさっさと２階行けや」と言いました。



今年に入って、初めて父に話しかけられました。

約２ヶ月ぶりに父があたしにかけた言葉が、これでした。



あたしは、食事の時など必要最低限以外のリビングへの入室を許されていません。そして、父にずっと無視されていました。母も無視されていますが、一切文句を言われていません。あたしは、無視されるのに、文句を言われました。



２階の自室へと戻り、大好きなクレインフライのＭＤを大音量でかけて、ベッドに寝転がり、目をつぶって、じっとしていました。涙がたくさん溢れてきました。



父が大嫌いです。顔も見たくないし、声も聞きたくないし、存在も忘れてしまいたい程に大嫌いです。そんな父に嫌われた事を、とても光栄に思っていました。母とあたしが嫌われた代わりに、姉と弟はベトベトに愛され可哀相に。と思っていました。



なのに、何故こんなに悲しいのでしょう。

父も、あたしと同じ気持ちなだけじゃないですか。

あたしの顔も見たくないし、声も聞きたくないし、存在も忘れてしまいたい程に大嫌いなだけじゃないですか。これって、両思いじゃないですか。お揃いじゃないですか。お互い様じゃないですか。上手くいくはずじゃないですか。



もういいです。

夕食は、外で済ませます。