[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
指定された席に座ると、ボールペン、会社概要の冊子、白い不思議な物体が目の前に用意してあった。白い不思議な物体は、長さ20センチ程の棒状で、綿でできており、蛇腹になっているので柔らかくフニャフニャと曲がるようになっていた。あたしはそれを手に取り、右に曲げたり左に曲げたりと不思議そうに眺めていた。「それ、帽子だよ」という声がして顔をあげると、目の前には50歳くらいの禿げた男が立っていた。「あんたがさっきからアホ面で見てるから言いにきたよ」と男は笑った。新卒採用の担当課長だった。
「会社説明はしません。自分で研究してください。わからないことがあったらメールしてください。」とその男は言った。選考に来ていた内の半分が、まずは工場見学に行かされた。あたしもその内の1人だった。小さい頃から、社会見学で工場を見学するのがわりと好きだったし、テレビで物の製造過程を見るのが好きだった。だからこの工場見学はわりと楽しみにしていたのだが、昨日は祝日だったので機械の清掃ばかりしており、面白そうなものは見ることができなかった。
30分ほど工場を見学したあと、グループ面接が行われた。あたしと同じグループに目立つ男がいた。肌が脂っこくテカっておりニキビだらけで、髪もベタついており、肩にはフケがたくさんついていて、歯並びがガタガタで、メガネで、太っていて、不細工な男だった。面接が始まって、その男の順番になって驚いた。かなりの舌足らずで言葉が聞き取りにくかった。「こんなに悪条件の揃った人もいるんだ」と変に感心してしまったが、よく考えたら努力でかなり改善されることばかりだった。努力すれば、不細工だけど清潔でスマートな舌足らずで済むのだ。そうだ。がんばれ。
グループ面接の後、全体での質疑応答があった。あたしに比べると、相当偏差値の高い大学の人たちが質問をしていた。あたしより偏差値の高い大学に行っているはずなのに、彼らは頭の弱そうな質問ばかりしていた。「なんそれちょーかんけーねえじゃん」と言いたかった。マジどうでもいい質問をダラダラと言うばかりだった。こりゃ大学は関係ないなと思い、あたしも手を挙げて質問をすると、思わず面接官が「お、いいね」と言ってしまった。ちょっと嬉しかった。
帰りにお土産をもらった。この会社はいつもたくさんお土産をくれるので嬉しい。